高知工科大学インフラサウンド観測ネットワークシステム

Kochi university of technology
InfraSound Observation Network System.

観測事例紹介

津波以外にも各種の自然現象でインフラサウンドが発生します。
ここでは様々な自然現象がインフラサウンド発生した事例を随時紹介していきます。

観測事例インデックス

台風16号(2016年9月20日)

図1 台風16号によるインフラサウンド(2016年9月20日)
図1 台風16号によるインフラサウンド(2016年9月20日)


平成28年(2016年)9月20日の0時過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸し、9月20日の11時頃に室戸岬を通過しました。 (*1)
高知県黒潮町では20日の未明に暴風域に入り、午前10時頃をピークとして激しい風雨に見舞われました。

この時、黒潮町内の4か所で複合型インフラサウンドセンサーが観測を行っており、台風のもたらすインフラサウンドの音圧の急激な変化を捉えています。 黒潮町出口の記録を見ると音圧の変化は最大で約180 Paに達し、平常時の音圧変化(約2~5 Pa)の数十倍の変化が捉えられました。(図1 参照)

■ 参考文献

(*1)「台風位置表 平成28年(2016年) 2016年台風第16号 MALAKAS (1616) 位置表」気象庁ホームページ

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阿蘇山の噴火に伴う空振(2016年10月08日)

図2 阿蘇山の噴火に伴う空振(2016年10月18日)
図2 阿蘇山空振の高知県黒潮町内インフラサウンドセンサーへの到達時刻


平成28年(2016年)10月08日午前01時46分に阿蘇山中岳第一火口で爆発的噴火が観測されました。 気象庁は同日01時55分に火口周辺情報を発表し、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました。 この爆発的噴火に伴い、古坊中観測点で 189 Pa の空振を観測しました。(*2)

爆発的噴火の約8分30秒後(01時55分30秒付近)に出口観測点でインフラサウンドの音圧の変化が観測され、 続いて約8分55秒後(01時55分55秒付近)に浮鞭観測点で、約9分05秒後(01時56分05秒付近)に上川口観測点で同様のパターンの変化が観測されました。(図2 参照)

阿蘇山から高知県黒潮町までの直線距離は約190 kmであり、この区間を音波は約9分前後で到達する事と、 西側に配置された観測点ほど早い時刻に変化を感知している事から、この音圧の変化が阿蘇山の空振によるものであったことが推定できます。

現在、各観測点にはGPS衛星の時刻データを用いてより正確な観測時刻を記録するようになり、 インフラサウンドの発信源のより詳細な特定が行えるようになっています。

■ 参考文献

(*2) 「阿蘇山の火山活動解説資料(平成28年10月)」福岡管区気象台 地域火山監視・警報センター

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